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2020年11月26日

写真展をふりかえって

小川宏実写真展「この辺」、11月2日をもちまして全日程終了致しました。随分と時間が経過してしまいましたが、会期中お越しいただいた皆さん、ありがとうございました。

9月28日から始まった写真展、あっと言う間の出来事でした。会期中はほぼ毎日お店には顔を出していたので、今は通常運転に戻しております。

お越しいただいた方はご存じかと思いますが、会場に設置してあったQRコードからアクセス出来るwebコンテンツを用意しておりました。会期終了後、すぐに閉じるつもりでしたが、11月いっぱいはオープンにしておきますので、ぜひアクセスしてみてください。メインで展示していた写真もご覧いただけます。

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初めての写真展。準備を進めていくなかで、写真展をするってどういうことやろ?と、ふと疑問に思った。今やスマホでそれなりの写真は撮れるし、オンライン上でシェアも簡単な訳で。写真を観てもらう、だけなら、スマホ1台で全て完結出来るのである。スマホで出来ること、そのままやっても何の価値もないし、誰でも出来ることやなと思った。

自分が撮った写真を自分で見るのは、好きである。写真を見ると、その時の記憶が甦り、ワクワクするから。その興奮する感覚に出来るだけ近付いてもらえるように、自分なりに工夫を凝らした。それが双眼鏡の設置、上記のwebコンテンツである。

僕が一番興奮している瞬間は、望遠レンズを覗いて、レンズ越しに野鳥に近づいている時である。限られた視界の中で覗き込む、没頭する面白さが伝われば良いなと思い、双眼鏡を設置することにした。

ガーランドのように写真を吊るした。双眼鏡で見てもらえるように、肉眼では見えづらい位置、写真サイズにした。

知る楽しさもある。今回、写真そのものにはあえて鳥の名前や説明は示さなかった。その情報を示しちゃうと探究心がそこで削がれると思ったから。その辺に飛んでる鳥も名札を付けて飛んでるわけちゃうしね。興味があれば見た目の特徴を頼りに自分で調べてちょーだいね、というスタンス。

とは言っても、興味があれば、だと、そこに踏み込んでくる人間は少数だろうと思い、店内数か所にQRコードを設置した。そのQRコードからアクセス出来るのが冒頭のほうで説明したwebコンテンツである。ま、そこには僕の適当な鳥の紹介文と鳴き声のモノマネが並べられてるだけなんやけど。モノマネだと知らずに鳴き声を聴いているお客さん。徐々に困惑していく様子を見るのは愉快だった(趣味が悪い)。

鳴き声のモノマネがきっかけで、撤収の模様をライブ配信することに。やってる最中は地獄であったが、イメージ通りには仕上がってた。

今回の写真展を改めて振り返ると、自分の作品を観てもらう、というよりかは、展示会場のラップ&ロールの空間を使って、自分自身も含め如何に面白い体験が出来るか、ということに注力していたと思う。

写真展に来てくれた方々と話す機会があり、外にいるとき、野鳥を気にするようになった、という感想をちょくちょくもらうことがある。息苦しく、不安な情勢のなかで、今回の写真展がその人の生活の一部に彩りを与えたのかなと思うと、素直に嬉しい。

そもそも、写真展をやる、という発想なんて微塵もなかった。webコンテンツの自己紹介の部分で触れているが、展示会場の店主と出会っていなければ、写真展をやることはきっとなかった。人との出会いで切り開かれる世界はまだまだある。

長々と散らかった文章で綴りましたが、何が言いたかったかというと、写真展、やって良かったです。

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